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浄化の涙

先日のレッスンで最後のシャヴァーサナから起き上がると、涙を流している方がいらっしゃいました。
「体が緩んだら涙が出てきた。」と。

 

この方は、とてもストレスの強いお仕事をされていて、常に緊張状態にあります。 
また時間も不規則で、冷房も強く体が冷えているとのことでした。
過酷な職場環境なので、心身への負担は大きいことと思います。

 

家では、主婦であり母親でもあります。

職場でも家庭でもそれぞれに重要な役目も責任もあり、なかなか心休まることがありません。

 

ご本人も全身の凝りや自律神経の乱れを自覚されています。

 

 ストレスが高い状態というのは、自律神経でいうと、交感神経が優位になっている状態です。

fight or flight 闘争か逃走 と言われるように、動物にとって緊急事態ということです。

呼吸を荒くし心拍数を上げ、筋肉を奮い立たせ、戦いに挑むもしくは一目散に逃げる!という状態です。内臓の働きは一旦ストップして、血液は表層の筋肉へと送られます。

 

緊張状態を抜けリラックス状態に入ると副交感神経に切り替わっていきますが、常にストレスが高いということは、この状態がずっと続くということです。

 そうすると、体は硬くなり、血圧は上がり、呼吸は浅く、消化、排泄などの内臓の働きが悪くなります。もちろん様々な不調をきたします。

 

自律神経が乱れているというと、現代人の場合、だいたい交感神経優位であることが多いです。

現代人にとって、副交感神経に切り替えていく、リラックスするということはとても重要なテーマになります。

 

しかし、緊張が強く長く続いている場合は、リラックスしようとしても、リラックスの仕方がわかりません。心をリラックスさせようとしても、心のコントロールは難しいです。

 ですので、まず体をコントロールしていくのがヨガのアーサナです。

 

とにかく緊張が高い人は体を緩めていきます。深い呼吸とともに体をあらゆる方向に伸ばしたり、曲げたり、捻ったりしながら解放していきます。

その結果、涙が流れるという、心がリラックスした状態になっていったのです。

 

体に溜め込んだ不要なものは、尿や便、汗、咳、オナラ、ゲップなど、様々な形で体から排出されていきますが、涙もその一つです。緊張感として心の中に詰まっていたものを流し出してくれます。とても大きな浄化作用です。

 

神聖で清らかな存在として、私達はこの世に誕生しますが、生きていく中で、純粋だけではいられない様々なものを抱えてしまいます。抱えるものが大きすぎて、体や心が押しつぶされたり、不調をきたさないように、体を緩め呼吸を通し、心身を浄化したいものです。

 本来の清らかな存在へと戻っていけるように…

 

この方はレッスン前はドライマウスだとおっしゃってました。

やはり、自律神経の乱れからくるものだろうと。

 最後のシャヴァーサナで涙だけでなく、唾液も溢れ出したそうです。

 副交感神経に切り替わることで、体の回復機能が働き出したんですね。

 

どうぞ、ストレスにさらされる現代を生きる方に、意識してリラックスできる時間をとっていただきたいと思います。

 そして、清らかで純粋な存在であることを思い出せますように。